投稿

3月, 2018の投稿を表示しています

存在感

良く言われる「存在感」とはなんでしょうか? 人によってはオーラなんて言い方をしたりしますが,,,, ============= 以前、大河ドラマで福山雅治さんと初めてお会いした時、いわゆるオーラを感じました。 というより、あまりにメディアに露出されている方なので、初めてなのに初めてではない不思議な感覚に襲われました。 しかしその感覚もしばらくすると、次第に薄れていきます。 その時、ふと「オーラ」と呼ばれるものは、見る側が勝手に感じるものなのかもしれないと気づきました。 ============ ある時、ワークショップでモデルの方数名とご一緒したことがあります。 演技経験はほとんどないという話だったのですが、何とも言えない「存在感」があります。 初対面の演出家やプロデューサーの前では大抵の俳優は緊張します。 しかし、彼らにはその緊張が見えないのです。 確かに演技は経験ないのでしょうが、彼らはファッションショーや撮影など、人目に触れた状態で堂々と存在する訓練は受けています。 見られることに物怖じせずに堂々としている様は気持ちの良いものです。 「存在感がある」の対極が「頼りない」だとすると彼らはとても頼れる存在だと感じました。 それはまるでカメラに囲まれた中でも優れた成績を残すアスリートのようでした。 ============== 今までの観劇体験で一番刺激的だったのは、「ポツドール」という団体です。 演出の三浦大輔さんは最近では「何者」や「娼年」などの作品でも活躍されています。 初めて観たのは岸田国士戯曲賞受賞後初めての公演でした。 「夢の城」という舞台でシアタートップスで上演されました。 幕が開くとベランダを外側から覗くように舞台上で複数の男女、いわばギャルとギャル男の生態が展開されます。 冒頭10分前後でしょうか? ベランダ越しになんてことはない(こともないのですが(笑))生活を覗かされます。 車が行き交う音がSEで聞こえています。 そう、まるで向かいのマンションから覗いているような気持ちになってきます。 それも完売ですし詰めの客席が一体となって、見てはいけないものを見せられている気分です。 その後、暗転を挟み、ベランダが取り払われ舞台上に部屋が存在するだけになるのですが、何とも言えない刺激的な幕開けでした。

「相手」という間口から入るということ

お芝居には様々なアプローチがありますが、一番難しく、そして面白い部分と言えば「相手役」との関わり方です。 一人で台本を読んでいた時の想像通りに相手役が演じてくれることはまずありません。 舞台の稽古で演出家の言っていることは理解できる、ただ共演者とそれをどう実現したらよいかわからないということは度々起こります。 場合によっては、「相手役は理解していないけど自分は理解できている」と思うこともあります。 しかし、あくまで「相手役と一緒に」演出の要求に応えられる、その先に行けるかが大事なのです。 遠回りに見えるかもしれませんが、相手役との距離感、信頼関係をお客さんは敏感に察知します。 舞台には美術や照明など世界観を感じるためのヒントが散りばめられています。しかしいつもスムーズにその世界観をお客さんが感じ取ってくれるとは限りません。 そんな中、最もリアルでお客さんにとって最も有効なヒントは舞台上の人間、つまり俳優です。 仮に舞台上にいる人間を信じられなければ、美術や小道具がどんなにリアルでも、お客さんにはどこか物足りなさが残ってしまいます。 相性があるので最初から相手役と上手く行くとは限りません。 しかし相手とどうやって信頼関係を結ぶかも俳優の大事なスキルのひとつだと感じます。 あくまで「相手という間口」から劇世界に入ること、拡げることを第一としてみて下さい。