「相手」という間口から入るということ

お芝居には様々なアプローチがありますが、一番難しく、そして面白い部分と言えば「相手役」との関わり方です。

一人で台本を読んでいた時の想像通りに相手役が演じてくれることはまずありません。

舞台の稽古で演出家の言っていることは理解できる、ただ共演者とそれをどう実現したらよいかわからないということは度々起こります。

場合によっては、「相手役は理解していないけど自分は理解できている」と思うこともあります。

しかし、あくまで「相手役と一緒に」演出の要求に応えられる、その先に行けるかが大事なのです。

遠回りに見えるかもしれませんが、相手役との距離感、信頼関係をお客さんは敏感に察知します。

舞台には美術や照明など世界観を感じるためのヒントが散りばめられています。しかしいつもスムーズにその世界観をお客さんが感じ取ってくれるとは限りません。

そんな中、最もリアルでお客さんにとって最も有効なヒントは舞台上の人間、つまり俳優です。
仮に舞台上にいる人間を信じられなければ、美術や小道具がどんなにリアルでも、お客さんにはどこか物足りなさが残ってしまいます。

相性があるので最初から相手役と上手く行くとは限りません。
しかし相手とどうやって信頼関係を結ぶかも俳優の大事なスキルのひとつだと感じます。

あくまで「相手という間口」から劇世界に入ること、拡げることを第一としてみて下さい。

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